第19次日韓繊産連(聯)年次合同会議について
さる4月14日(木)、帝国ホテル大阪において、第19次日韓繊産連年次合同会議が開催されました。この会議は、日本繊維産業連盟と韓國纎維産業聯合會との間で毎年日本、韓国で交互に定期的に開催されているものです。(今回は、昨秋行われる予定が本年4月に延期されたもの。)
出席者は、日本側からは、前田繊産連会長、櫻井常任委員、八木事務総長、津村化繊協会会長、榊原次期会長、田中化繊協会通商委員長、丹羽紡績協会会長、田中羊毛紡績会会長、藤井日本綿スフ織物工業連合会会長、西日本絹人繊織物工業組合連合会理事長、中西日本繊維輸出・輸入組合副理事長、小池日本衣料縫製品組合会長、米良繊維輸出機構代表などを含む計36人が参加しました。
韓国側からは、慶世浩(Seho Kyong)韓国繊産連新会長、安榮起(Young-Kie Ahn)韓国化繊協会新会長を始め14名の参加がありました。
また、韓国産業資源部FTATeamからの参加があったため、斉藤経済産業省繊維課通商室長にもオブザーバーとして参加いただきました。
議事概要
最初に、両国代表の挨拶の後、3つの日韓共通の「特別テーマ」の報告と意見交換が行われました。
(1) 第1テーマ:「繊維産業の構造改革と将来展望について」
■日本側(報告者:津村化繊協会会長)
繊維の産業政策として、2003年の新繊維ビジョンに盛り込まれた、技術開発、輸出振興、流通構造改善、人材育成、中小テキスタイル事業者の自立化事業等につき紹介があり、それぞれの取り組み実態について説明。通商政策については、アセアン諸国とのFTA交渉の現状、WTOにおける非農業品の市場アクセス交渉の現状について報告し、世界の繊維貿易のイコールフィッティングの必要性について強調した。今後の業界展望として、用途を問わず付加価値の高い素材・商品開発に取り組み、質の拡大を重視した事業展開を強めてゆくことの重要性を述べた。
■韓国側(報告者:安榮起韓国化繊協会会長)
中国を始め発展途上国の設備増設と安価な製品の国内流入等により、輸出依存型産業としての韓国の化繊産業が直面している苦しい状況を紹介。今後は、供給過剰・過剰雇用の解消と収益性の向上のための構造調整と、差別化を重視した多品種少量生産体制への転換の必要性、そのための改善策などが述べられた。また、中国への繊維関係投資が急増していることが紹介された。
(2)第2テーマ:「ポストATC時代の中国に対する繊維業界の取り組みと方向性について」
■日本側(報告者:米良日本繊維輸出機構代表)
懸念されていた通り2005年1月の米国・EUの繊維輸入枠の撤廃を機に、中国の欧米向繊維製品輸出が急増している。その一因として、欧米の大型小売店による中国からの集中調達の動きもある。日本の基本的な対応は、テキスタイルの輸出振興と中国の縫製力を利用したグローバル展開であり、このため、新商品開発、競争力・輸出力の強化を図ってゆく。なお今後は、セーフガード発動等の世界の繊維貿易動向、中国の外資系企業への貿易権の付与の2点が大きなインパクトを与えるとの見方などが紹介された。
■韓国側(報告者:金正元韓国梳毛紡協会専務理事)
現在韓国は、中国による韓国の伝統的輸出市場のさん食、中国からの輸入増加、対中輸出の鈍化に直面している。韓国の繊維産業は、中国繊維産業の急浮上に対処すべく、今後、生産基盤の強化、輸出の拡大と新たな海外投資の戦略に取り組むこととしており、その具体策を紹介した。
(3) 第3テーマ:「繊維業界の日韓FTAへの期待について」
■日本側(報告者:櫻井繊産連常任委員)
今後の日韓FTA交渉の前進のために、基本的な考え方を確認するとともに、特に原産地規則について、
(1)韓国側の衣類の原産地規則の1工程基準の主張の理由、
(2)この1工程基準について、韓国の糸・織編・染色業界は賛同しているのか、
(3)韓国はアパレル立国を標榜しているが、中国とどのように競争してゆくのか、
(4)北朝鮮(開城)での縫製は認められないがどうか、
(5)日韓協力による強いハイテク・織物産地の構築が可能であるがどうか、
等の率直な質問を行った。
■韓国側(報告者:金正会韓国繊産連理事)
韓国のFTAへの取組みと期待を紹介するとともに、日韓FTAを通じて何を得られるかについて疑問を持っている、即ち、日韓間の繊維貿易がどれほど拡大するか、中国の比較優位にどれだけ追いつけるか、投資は拡大するだろうか、技術協力・技術移転は可能か、などであり、未来志向的で実践的な議論が必要と述べた。
■FTA問題については活発な議論が行われたあと、慶韓国繊産連会長から、帰国後、特 に原産地問題については各業界間のすり合わせを行い、早急に統一見解をまとめたいとの発言がありました。
以上の「特別テーマ」の報告の後、両国の業種別の業況報告と意見交換が行われました。
日本側の報告は、日本紡績協会、日本化学繊維協会、日本羊毛紡績会、日本綿スフ織物工業連合会、日本絹人繊織物工業組合連合会、日本繊維輸出・輸入組合、日本衣料縫製品協会、日本染色協会(資料配布)、日本ニット工業組合連合会(資料配布)から行われ、 韓国側からの報告は、大韓紡織協会、韓国化繊協会、韓国梳毛紡協会、韓国染色工業協同組合連合会、大韓織物工業協同組合連合会、大韓ニット工業協同組合連合会、韓国衣類産業協会から行われました。
合意書の調印
最後に、次回の会議は2006年に韓国で開催する等を記載した合意書が調印されました。
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